左片手半面(左片手右面)
作成日:20.7月頃
改正日:21.11.23
概要
左片手半面(左片手右面)は中段から左片手一本で相手の右面を打つ強烈な技です。
現代剣道では見ることは殆どできませんが、見た目の派手さからか、知名度は高いように思います。
剣道の本や雑誌に稀に紹介されていますが、不意打ち、初心者がすべきでない、とされ、(私からすれば)不当な扱いを受けております。
宮本武蔵が著書『五輪書』で述べているように、片手打ちは諸手打ちに勝るとも劣らない強い打ちです。弱いのは打ち方を知らないだけです。
なみあしの基本動作を身に着けていただいた上で、以下の通り実践してもらえれば、きっと試合でも一本を取っていただけるでしょう。
技の順序
恐らく世界で一番詳しい解説だと思います(笑)。
一般的な打ち方(右足荷重になってから打つ)とは少し違います。
- 中段で構え居る
- 左膝を抜きます。すると左足に荷重が強く掛かります。(右足には荷重させない)
- 左足に荷重が掛かると自然と左腰が前に回転するのを利用し、左片手で竹刀を振り上げます。
- 振り上げ始めたら、左足を左斜め前に送ります。
- 左足が着地し、竹刀を振り上げ終えたら、右足に荷重を移します。
- 今度は逆に右腰が前に回転するのを利用し、左手を下ろし始めます。
- 刃筋がしっかり立って右面に当たれば良し。
技のコツ
- 右足には荷重しようとせず、左足荷重のまま左足を送る。
- 腕力で振らない。振り上がるのを待つ!
- 右腰の前進により左肩・左腕が引張られるのと、重力で竹刀が落ちてくるのを利用して竹刀を振る。竹刀を振ろうとしては手に力が入り、刃筋が立たなくなる。
- 手はあくまで切手とし、手首を伸ばそうとしない。腕を痛める原因、相手を痛める原因になる。
- 上腕をしっかり外旋させ、肘は自然に曲がる程度にし、脇が空かないようにする。
練習法と注意点
空間打突 その1
竹刀で練習すると、腕力に頼る癖がつくので桐の木刀のように軽いもので始めるのがおすすめです。まずは手刀で始めるのも良いでしょう。
十分慣れてから竹刀でやりましょう。
- 敢えて空振りする練習をし、腕力を使わない癖をつける。
- 打った時に柄を指で握りしめず、掌の中で自然と得物の動きが止まるようにする。
- 刃筋と打ちのベクトルが一致することを心掛ける。
- 左腕を外旋させ、腕と脇が密着するように打つ。
- 手首を伸ばしすぎないこと。前腕の筋肉に負荷がかかりすぎ、痛めます。
打ち込み台を使って
ある程度、形ができたら、打ち込み台に向かって打ってみましょう。ここでは竹刀を使います。
- 基本的には上の空間打突と同じです。
- 右面に対し垂直に当たるように注意する。
- 剣尖1点ではなく、物打ち全面で打ちようにする。(手首が伸びなくなるし、打たれる方も痛くない。)
- 打ったら竹刀が跳ね返されて振り下ろした軌道に戻れば良し。力が抜けている証拠です。
- 手首を伸ばしすぎないこと。前腕の筋肉に負荷がかかりすぎ、痛めます。
- 大きく振りかぶろうとしないこと、むしろ小さく振ろうとして下さい。剣尖の動きを見れば、十分大きく振られているのが理解できるはずです。(竹刀は長さがある分、剣尖の動きは大きくなる。)
空間打突 その2
ここまできたら、竹刀を使って空間打突をしてよいでしょう。
右片手左面の練習も兼ねて切り返しをやってみましょう。腕力に頼らず振れるようになっていれば、何本振っても腕は痛くならないはずです。
実践動画
基本打ち 2挙動の打ち
いきなり右足荷重から打つのではなくて、左足荷重から打ち始めることを習得するため、2挙動で練習しましょう。
左足荷重だと、床からの地面反力が左腰→左手→竹刀と伝わることで腕力に頼らず、振り上げることが可能になります。
また、動画のように打ち込み台で練習することも重要です。竹刀で素振り(空間打突)をすると、腕や手首を痛めたり、止める動作が癖になってよろしくありません。
慣れるまではこれで練習する
基本打ち 1挙動の打ち
慣れたら、左荷重から右足を動かさずに打つ。右足を前に出したつもりでその場で着床し、右足に荷重する。
実践的な左片手半面
派生技
- 小手抜き左片手半面
- 突抜き左片手半面
能々稽古あるべし
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