小手抜き面に対して返し胴
作成日:22.4.21
改正日:22.11.20
概要
名前が長過ぎて何のこっちゃ?となっているでしょう。どの本にも紹介されていませんしね。ほんの一文ですが記述が見つかりました。昔の先生方はお遣いだったようです。(1)
こちらが小手を打ったところを相手が抜いて面を打つ。普通ならここで面を打たれて一本。しかしなみあしならば、そこから奥があるのです。
打ち下ろされる面に合わせて返し胴を打つのです。
技の順序
小手-胴、返し胴を修得しているならば難しいことではありません。
- こちらから小手を打ちます。
- 相手がこちらの小手を抜いて、面を打ってくる。
- 前足に荷重したまま、頭上で面を受け、
- 手を返しながら、右胴を打ちます。
技のコツ
上記の通り、小手-胴と返し胴の合わせ技です。
右足荷重剣道だと抜かれたら、抜かれっぱなしになり、胴に行くことができません。なみあしならではの技です。
小手打ちで相手の面打ちを誘うと考えれば、後は只の返し胴ですので、一度意識できれば案外簡単な技です。
足遣いは右(小手)-右(胴)か右-左で打つのが簡単だと思いますが、左-右でも左-左でも構いません。小手を抜かれた時に左と右どちらの足に荷重しているかによって使い分けます。なお左で胴を打つ場合は飛込胴のように左に抜けます。
練習法と注意点
まずは意識改革です。常に攻撃の機会を伺い、あらゆる動作を攻撃に結びつける意識が必要です。
小手を抜かれたら、顔を傾けたり、背中を丸めて避ける人が多いですが、避ける暇があるのなら、応じられるはずです。また応じられるように姿勢や足の踏み方を工夫すべきでしょう。
裏技を研究しよう
このような、ある技を破る技を裏技と言います。普通の応じ技も仕掛け技に対する一次の裏技とも言えます。
応じ技を勉強する剣士も多いですが、何事も裏があるのです。昔からの教えである『三つの許さぬところ』の一つに、「相手の打つところ」があります。応じ技が成功した!と思ったところにこそ隙が生じるのです。
もし裏技を極められたら、どこに隙があったのか研究するとともに、裏技を破る裏技を考えましょう。そうすることで技が発達するのです。
皆様も裏技をよくご研究ください。
実践動画
Coming soon...
派生技
- 小手抜き面に対して摺上げ面
- 小手返し面に対して返し逆胴
参考文献
- 体育とスポーツ出版、剣道上達の秘訣、剣道時代編集部、p69、1985年
能々稽古あるべし
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